「Gibson assembly」(ギブソンアセンブリ)は、DNA断片のクローニング方法の1つです。末端が相同なベクターとDNA断片を混合し、3種の酵素が入っているマスターミックスを使用して、相同な部分をベースに一気にDNA断片をベクターに結合させます。
原理
Gibson Assembly システムは三つの異なる酵素反応を一つのバッファーで行うことで、複数のDNA断片を一括に繋ぎ合せることができるシステムです。
- 1. 5’エキソヌクレアーゼがDNA断片およびベクターの末端について、片方の鎖のみ分解してオーバーハングな領域を作成します。
- 2. ベクターとDNA断片のオーバーハングに存在する相同領域でアニーリングが生じます。
- 3. DNAポリメラーゼが生じたギャップ(=相同領域以外)を埋めます。
- 4. DNAリガーゼがフラグメント間の結合部位を繋ぎます。

実験手順
- 1. PCRを使って目的のDNA断片を増幅します。増幅されたDNA断片は、ギブソンアセンブリーで組み合わされる予定の他のDNA断片と20塩基以上のオーバーハングを持つことが望ましいです。
- 2. DNA断片を精製し、適当な濃度(通常は50-100 ng/μL)に希釈します。
- 3. 各DNA断片を等モルになるように混合し、2.5Xのギブソンアセンブリーマスターミックスに加えます。
- 4. 反応液を50℃で1時間インキュベートします。
- 5. 架橋生成物を適当な細胞(通常は大腸菌)に導入し、寒天培地上で培養および選択します。
- 6. 形質転換が成功したコロニーを選び出し、所望の改変が行われたことを確認します。

応用
ギブソンアセンブリーは、合成生物学におけるDNA構築の分野で広く活用されています。
典型的な応用例としては、遺伝子のクローニングや合成、突然変異導入、タンパク質機能改良、ベクター構築、人工染色体作製などがあります。
参考書籍
バイオ実験基本セット
- これからはじめる人のためのバイオ実験基本ガイド (KS生命科学専門書)
- イラストでみる超基本バイオ実験ノート―ぜひ覚えておきたい分子生物学実験の準備と基本操作 (無敵のバイオテクニカルシリーズ)
- 改訂 バイオ試薬調製ポケットマニュアル〜欲しい試薬がすぐにつくれる基本操作と注意・ポイント
- バイオ実験法&必須データポケットマニュアル―ラボですぐに使える基本操作といつでも役立つ重要データ
- バイオ実験超基本Q&A―意外に知らない、いまさら聞けない
バイオ実験イラストレイテッド
- バイオ実験イラストレイテッド〈1〉分子生物学実験の基礎 (細胞工学別冊 目で見る実験ノートシリーズ)
- バイオ実験イラストレイテッド②
- バイオ実験イラストレイテッド〈3+〉本当にふえるPCR (目で見る実験ノートシリーズ)
- バイオ実験イラストレイテッド④
- バイオ実験イラストレイテッド〈5〉タンパクなんてこわくない (目で見る実験ノートシリーズ)
- バイオ実験イラストレイテッド⑥
- バイオ実験イラストレイテッド⑦
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