【生命科学】ブロモフェノールブルー(BPB)【用語解説】

生命科学

ブロモフェノールブルー(Bromophenol Blue、以下BPBと略)は、化学的な酸塩基指示薬として広く使用され、特にゲル電気泳動(gel electrophoresis, SDS-PAGEなど)といった実験技術で役立ちます。この記事では、BPBの化学的性質、主要な用途、および実験での利用について解説します。

BPBの化学的性質

BPBは有機化合物の一種で、化学式C19H10Br4O5Sと表されます。その名前からも分かるように、ブロモ(Bromo)を含む化合物で、青色から黄色までの色調を持つことがあります。以下は、BPBの主な化学的性質です。

  1. 塩基指示薬: BPBはpH指示薬の一種であり、溶液の酸性度やアルカリ性度を示すのに使用されます。酸性環境では黄色に、中性からアルカリ性環境では青色に変化します。
  2. 水に溶解性: BPBは水に非常によく溶解し、水性溶液として簡単に調製できます。これは実験実施時に便利です。
  3. 吸光度: BPBは特定の波長で吸光度を持つため、分光光度計を使用して溶液のpHを測定する際に有用です。吸光度の変化によってpHの変化を検出できます。

BPBの主要な用途

  1. ゲル電気泳動(Gel Electrophoresis): BPBはゲル電気泳動の実験で主要な酸塩基指示薬として使用されます。電気泳動DNARNAタンパク質などの生体分子を分離し、分析するための手法で、酸塩基性を示すBPBも同様に移動するため、DNAフラグメントやタンパク質の移動を追跡するのに役立ちます。具体的には電気泳動を終了するタイミングを判断するために用います。アルカリ環境でゲル内の塩基が脱プロトン化(-OHに変化)し、青色に変化します。
  2. 塩基指示薬: 化学実験や生化学実験において、BPBは酸塩基性の測定に使用されます。反応の進行や終了を示すため、中和点(pH 6.0から4.6の範囲で色が変わる)を視覚的に確認できます。
  3. 生化学実験: BPB酵素反応の追跡や、試薬溶液の酸塩基性の調整にも使用されます。酸塩基指示薬としての特性から、反応進行中のpH変化をモニタリングし、実験結果の解釈に寄与します。

実験でのBPBの利用方法

BPBは酸塩基指示薬として簡単に使用できます。以下は、BPBを使用した実験での一般的な手順です。

  1. 指示薬の調製: BPBを水や適切な溶液に溶解し、酸塩基指示薬のストックソリューションを調製します。このストックソリューションは、pH調整や指示薬添加に使用されます。
  2. pH測定: 実験の進行中、酸塩基性の変化を監視するために、BPBをサンプルまたは反応液に添加します。BPBの色が変化することで、pHの変化を視覚的に確認できます。
  1. ゲル電気泳動: ゲル電気泳動の場合、ゲル内にBPBを含む試料をロードし、電場をかけて分子の分離を行います。BPBが酸塩基性の変化を示し、分子の移動を追跡します。

まとめ

ブロモフェノールブルーBPB)は、酸塩基指示薬として幅広く使用され、特にゲル電気泳動実験で重要な役割を果たします。BPBは、化学実験や生化学実験でpH変化を追跡し、実験結果の解釈に役立ちます。その青色から黄色までの色調が視覚的な情報提供を行い、科学研究の進展に寄与しています。

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