ADHD は近年社会的に非常に注目を集めている発達障害疾患の 1 つであり、有病率も米国では 18 歳以下の 10%近く、我が国でも恐らく 4%ほどあり、極めて頻度が高いことが知られています。不注意・多動・衝動性という 3 つの特性を持ち、発達早期(12 歳 以下)に特徴が出現します。早期に診断され、教育的対応や医療的治療(薬物含む)がされることで成人後の社会適応が増すことが知られています。その一方で、障害特性を持ちながらも診断されずに成人する例も多く、後年になって障害 や適応障害などの背景にある ADHD 特性が初めて診断されることもあることから、現在は無い、生物学的な診断ツールがあることが早期診断と適切な支援に繋がると考えられます。
ADHD は遺伝的背景に加え環境的要因が複雑に関わっており、その病態は血球細胞内の遺伝子発現にも現れます。このため遺伝子配列に加え、mRNA やタンパク量等の環境要因を反映するマルチオミクスデータを血液から取得して診断基準を設ける方法が考えられます。しかしながらマルチオミクスによる手法・診断はコストが嵩みます。そこで 本研究課題では血液 RNA-Seq データのみを取得し、ADHD を判定する AI を構築します。これにより血液 RNA-Seq データのみで客観的に ADHD を判定することを実現します。
本研究では、健常人とADHD患者の全血トランスクリプトームのデータを比較し、環境要因も加味したバイオマーカーを調べた研究にて公開されているデータに基づき、血液トランスクリプトームからADHDか判定する機械学習モデルを作成します。
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