【生命科学】電子顕微鏡【用語解説】

生命科学

電子顕微鏡(Electron Microscope)は、光顕微鏡よりもはるかに高い分解能を持つ顕微鏡です。可視光線の代わりに電子ビームを使用することにより、非常に小さな構造を詳細に観察することができます。電子顕微鏡は、特に生物学、材料科学、物理学などの分野で、細胞構造、ナノ材料、結晶構造などの微細な詳細を研究するために用いられます。

電子顕微鏡の種類

透過電子顕微鏡TEM)、走査電子顕微鏡SEM)、走査透過電子顕微鏡(STEM)、クライオ電子顕微鏡(Cryo-EM)について紹介します。

透過電子顕微鏡(TEM)

  • 原理:電子ビームをサンプルを通過させ、透過した電子を捉えて像を作ります。
  • 用途:細胞の内部構造の観察、タンパク質の立体構造の決定、ウイルスの構造決定など。
  • 特徴:非常に高い分解能を持ちますが、サンプルの準備が複雑です。

走査電子顕微鏡(SEM)

  • 原理:電子ビームをサンプルの表面に照射し、反射または二次電子を捉えて像を作ります。
  • 用途:サンプルの表面の形状やテクスチャの詳細な観察など。
  • 特徴:表面の立体的な画像を提供し、より直感的な観察が可能です。

走査透過電子顕微鏡(STEM)

  • 原理:TEMSEMの技術を組み合わせ、透過および反射電子の両方を用いて像を作ります。
  • 用途:材料の微細構造の分析や、原子レベルでの成分分析など。
  • 特徴:高い分解能と材料の成分分析能力を兼ね備えています。

クライオ電子顕微鏡(Cryo-EM)

  • 原理:試料を極低温に凍結し、その状態で電子ビームで走査する。
  • 用途:タンパク質の立体構造の決定、ウイルスの構造決定など。
  • 特徴:高い解像度、非結晶性サンプルの観察、生体分子の自然な状態の観察。

特徴と利点

  • 高分解能: 電子顕微鏡は、光顕微鏡よりもはるかに小さい構造を可視化できます。
  • 多様な分析: 物質の微細構造や化学組成など、多様な情報を得ることができます。
  • 幅広い応用範囲: 生物学、材料科学、工業など、多岐にわたる分野での応用が可能です。

参考書籍

バイオ実験基本セット

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